アメリカ向け産業機械に適用されるEMC試験

アメリカ向け産業機械に適用されるEMC試験

アメリカ向け産業機械に適用されるEMC試験

*この記事は、2022年12月21日に公開された記事です。

今回は、北米(アメリカ、カナダ)向け産業機械に適用されるEMC規制について、ご紹介したいと思います。

アメリカ向けの産業機械では、EMC規制はないと思われている方も多くいらっしゃいますが、それは間違いで、EMC規制は法律として規定されております。

今まで言われたことがないから、なんとなく出荷していたというケースも多く聞かれますので、法律違反にならないように、ご注意下さい。

<コンテンツ一覧>

1. アメリカ向け産業機械のEMC規制(FCC)

アメリカ合衆国に、産業機械を日本から輸出する場合、OSHAが規制している機械安全に関する規制として、NFPA79などの機械安全をやっておけば問題ないと思われがちですが、EMCのほうも法律が存在しており、要求を満たす必要があります。

アメリカでは、各州で定められた「州法」に加え、「連邦法(United States Code)」が定められております。

EMCに関する規制は、連邦法(USC)の47で「電気通信」に関する法令が定められています。

そして、この連邦法(USC)を行うために、「連邦規則(Code of Federal Regulations)」が定められております。

「連邦法USC47 電気通信」に対する連邦規則(CFR)も同じナンバーが割り振られており「連邦規則(CFR)47 電気通信」になっております。

この「連邦規則CFR47 電気通信」は、行政府機関である「米国連邦通信委員会 FCC(Federal Communication Commission)」が管轄しております。

FCCでは、無線周波数を意図的に使用する無線通信機器(無線LANやBluetoothなど)や、電気機器が動作することで副産物として不要な電磁波を発してしまう電磁ノイズに対する取り締まりを行っております。

小型、大型は関係なく、産業機械に対しても、FCCの規制対象となります。

2. 多くの産業機械は、FCC Part18に該当

主に、産業機械は、FCC Part18に該当します。

FCC Part18では、ISM機器(Industrial, Scientific, and Medical equipment)と呼ばれる工業(Industrial)、科学(Scientific)、医療(Medical)の目的で使用される機械を取り扱っており、該当する機械の場合は、要求事項を満たす必要があります。

Part18は、9kHz~3THzまでのRFエネルギーを製品機能として意図的に使用する製品(高周波加熱装置など)や、その他ISM機器に対しても、電磁ノイズレベルを規制しています。

適合証明について

次に、Part18への適合性を証明するための手続きについて説明します。

FCCでは、機器の認証手順として、Part2 Subpart Jに「機器の承認手順」が定められております。

機器の適合性を証明するための方法は、次の2つです。

1つ目は、「供給者の適合宣言 SDoC(Supplier’s Declaration of Conformity)」です。

SDoCは、FCC当局やTCB(Telecommunication Certification Body)による認可申請は必要ありません。

適合性を示す根拠となるFCCテストレポートを製造者が持っていればよいとされるものです。

2つ目は、「認証(Certification)」です。

認証は、FCCへの申請認可手続きが必要となります。

Part18に該当する多くの機器は、SDoCでよいとされますが、中には認証が必要になる機器もありますので、予め自社製品について、調査しておかなければなりません。

3. 機械安全関連規格でもEMC要求があります

アメリカ向け機械に適用されるNFPA79やリスクアセスメント規格B11.0など、機械に使用される電気機器の規格でも、EMCに関する要求があります。

ANSI B11.0 リスクアセスメント規格

アメリカANSI規格では、リスクアセスメントを定める規格であるANSI B11.0でも、EMCに対するリスクが取り上げられており、NFPA79に従って要求を満たさなければならないと記載されております。

NFPA79 産業機械の電気規格

NFPA79(2021)「4.5.2 電磁環境両立性」では、機械の電気機器から発生する電磁ノイズによる電磁干渉がないようにしなければならないというEMC要求があります。

4. まとめ

このように、アメリカでも、EMCに関する法律があり、EMC要求に適合していることを証明することが要求されます。

自社製品に適切なEMC規格を選定、EMC試験を実施、試験結果であるテストレポートを根拠とすることで要求を満足できます。

イーエムテクノロジーでは、これらのEMC規格やEMC設計に関する技術コンサルティング、ノイズ対策、FCC測定サービスを行っております。

お客様の製品、状況、ご要望に応じた技術サービスをご提案させて頂きますので、お気軽にご相談頂ければと思います。

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2022年12月21日